続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
颯が、保管室の扉を僅かに開けて、辺りを見渡してから、再度扉を閉めた。
「大丈夫、誰も居ない」
「ねぇ……颯、さっきの颯のお父さんの話……」
「美弥、なんか心当たりない?俺の親父と接点ありそうな、知り合いとか、友達とか?前の職場の男とか?」
「男?!ないよっ」
颯が、私の返答に案の定、満足気に笑う。
私は、首を捻った。
ーーーー康二と私と接点のある人?
そんな人、考えても、全然思い浮かばない。前職のキッチンメーカーで働いていた時も派遣社員だったし、仲の良い女の子はいたけど、恋愛は、さっぱりだった。コンビニの店長は、既婚者だったし、そもそも、颯に拾われて、すぐに辞めてしまっている。親戚付き合いも、ほとんどなかったし、学費のために、アルバイトばかりしていた私は、友達と呼べる友達も居ない。
しばらく考えたが、私は、颯を見上げて首を振った。
「そっか……」
首を振る、私を見下ろしながら、颯は、口元に拳を当てて、何か考えている。
「颯?」
「あ、いや何でもない。あと、美弥に言っとかなきゃいけないことあって。俺も北沢も今夜接待で遅くなるから、美弥は、麻美と帰ってくれる?麻美にも言っといたけど」
「うん、分かった、ありがとう」
私は、転がっていたパンプスを履き直すと、保管室の扉へと向かい、ドアノブに手をかけた。
扉を開こうとした時、するりと、後ろから伸びてきた両腕に私の体は、あっという間に捕まえられる。