続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
「あ、颯、鞄とジャケット預かるよ」

美弥が、俺から鞄とジャケットを受け取りなが、ピタリと動きを止める。

「どした?美弥?」

その目線は、俺に向かずに、俺の肩のほうに向けられている。

「あー……この口紅だろ?英玲奈に、無理矢理つけられた」

「そ、うなんだ……」

美弥は、本当、有難い程に顔に出やすい。俺は、美弥の涙が落っこちないうちに、速攻でフォローに、はいる。

「マジでごめん、次から気をつける。シャツ捨ててもいいし」

「ううん、明日洗っておくから……」 

「悪い」

俺は、美弥をゆっくり抱きしめた。甘い髪の匂いと石鹸の匂いに、今すぐ押し倒したくなる。

「颯……あのね、その……」

「何?」

「英玲奈さんに……他には、何にもされてない?」

美弥が、不安気な顔をしながら、こちらを見上げている。

「ほっぺたにキスされた位かな?別に、あいつに何されても何も思わねーけど」

何気に聞かれて、思い出したから答えただけだったが、俺を見上げていた、美弥の表情が、すぐに曇っていくのが分かった。

「美弥?もう他は何もないけど?」

美弥が、俺の背中に手を回して、ぎゅっと抱きしめた。じんわりと伝わる美弥の匂いと体温が心地いい。

「……する……」

「ん?美弥?」

美弥は、再度、俺を見上げると、眉を八の字にして、小さな口を遠慮がちに開く。
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