【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで
「これは、どう言う事ですか……?」


瞳に涙を溜めたカサンドラは声を絞り出しながら問いかけた後、縋るようにエイヴリーを見た。

そんなカサンドラの姿を見て、何を思ったのかエイヴリーは重たい溜息を吐いた。


「何故、連絡もなしに来たんだ……?」

「………え?」


エイヴリーの苛立ちを含んだ声にカサンドラは息を止めた。

どう見たって悪いのはエイヴリーな筈なのに……。
エイヴリーは焦りも謝りもせずにカサンドラを不機嫌そうに睨みつけている。


「ヘイリーとの折角の時間を邪魔されて最悪な気分だ」


カサンドラはエイヴリーの言葉に愕然としていた。


「どういう、こと……?」

「ははっ、見ての通りさ!俺は運命の相手を見つけたんだ」

「……!!」

「ヘイリーこそ、俺の婚約者になるべき女性だったんだ」

「まぁ、嬉しい」

「カサンドラなら、分かってくれるだろう?」


カサンドラはエイヴリーの裏切りを目の当たりにして、瞳から涙が零れ落ちた。
何を分かればいいというのだろうか。

エイヴリーはカサンドラに手を貸す訳でもなく、ハンカチを差し出すこともなかった。
只、面倒くさそうに溜息を吐いてから、冷めた声でカサンドラに言い放った。


「カサンドラ……お前は少しガサツで、美しさに欠けるんだよ」

「……!」

「それに比べてヘイリーは美しく繊細で、会話も上手い」

「…っ」

「どっちを選ぶか、明白だろう?」
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