【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで
「……もう終わりなんだよ。分からないのか?」
「!?」
「お前と婚約破棄をして、俺はヘイリーと結婚することにする」
「うふふ、嬉しいわ」
「書類はすぐに送る……必ずサインしろよ?」
「……」
カサンドラの手から力が抜ける。
嘲笑うようにこちらを見る二人に、カサンドラはその場から立ち去ることしか出来なかった。
ここでカサンドラがいくら騒ぎ立てたって侯爵家と伯爵家相手では勝ち目がない。
訴えたところで、簡単に揉み消されてしまうだろう。
カサンドラは家族の顔を思い浮かべた。
今、カサンドラがヘイリーやエイヴリーを引っ叩いて暴れたとしても、家族に迷惑を掛けるだけだ。
悔しくて悲しくて頭がおかしくなりそうだった。
あれだけ「愛している」と言っていた癖に、手のひらを返された。
エイヴリーとの愛は一瞬で偽物になったのだ。