【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで
ナシールの行動が馬鹿すぎて面白いから……であった。

生まれた時から皇帝に溺愛されてモテモテの人生を歩んできたリリアーナの感覚は到底理解できないが、余程ナシールが刺激的だったのだろう。

だからこうしてナシールとチェリーとの関係にも口を出さずに、一歩引いて観察しているのである。

リリアーナは刺激的な生活を送って満足していたが、最近はナシールにも飽き始めていた。
そろそろ国に帰ろうかとお父様に頼もうかしら……なんて考えていた頃に、こうして"リリアーナ"として意識が覚醒したのである。

(リリアーナ、なんて恐ろしい子……!)

リリアーナが前に立っても、ナシールとチェリーはお構いなしである。


「邪魔だ、リリアーナ。あっちに行っていろ……!」

「………」

「いくらチェリーが可憐で素晴らしいからといって、これ以上は許さんぞ」


ーーーパシッ


「うっ……!」


ナシールはあろう事かデクランに手を上げた。
カランカランと音を立てて眼鏡が足元に転がって、リリアーナの足に当たる。

その様子を見て、目を見開いた。
手から羽根の扇子がぽろりと落ちる。
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