【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで
ホールデンは愕然とした。


「‥‥」


ただ愛する人の側に居たかっただけなのに‥。
レイチェルは我関せずといった様子で毛先を指でくるくると遊んでいた。


「そちらの御令嬢が‥何の役に立ちます?」

「で、ですが母上っ!彼女だってラランド公爵の娘です!それに‥それに、レイチェルは可愛くて私を褒めてくれる‥!」

「それで?」

「‥‥‥え?」

「社交界でのマナーは?貴族の名前は全て言える?お茶会を開ける‥?各国の要人をもてなせるのかしら‥!今すぐにッ!!」

「そ、それは‥然るべき人を迎え入れれば!」

「どこまでまノエリアの努力を踏みにじれば気が済むのッ!?」

「母上‥?」

「それを本気で言ってるのなら‥‥もう貴方に何も言う事は無いわ」


王妃は涙を流して顔を伏せた。


「っ!?」

「ホールデン‥‥お前が王になる資格は無い」

「な、なにを‥!?何故ですッ!?」

「犯罪に加担したのだ。もう表舞台には立てまい」


すると燕尾服を着た初老の男性が現れて国王に耳打ちをする。
国王は血走った目を見開いた。
その手はワナワナと震えている。

王妃も涙を拭い、心配そうに国王を見ている。

ホールデンは何を間違えたのだろう‥?
レイチェルを得た代わりに信頼も期待も全てを失ってしまったというのだろうか。
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