【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで
まさかのまさか、こんな一言を言うためだけに引き止められたかと思うと、あまりにも衝撃過ぎて言葉が出ませんでした。
ショックを受けすぎて固まっていることをプラスに取ったのか、先程までの焦った表情は一転して、「フッ」と息を吐き出して笑みを浮かべているではありませんか。


「……それで?」

「それでとは何だ」

「虐げた、とは?」

「…………は?」

「具体的には何をされたのでしょうか……?」

「??」


これでは話が進まないので分かりやすいように説明して頂こうと質問しましたが、どうやら上手く意味が伝わらずに答えていただけないようです。

大前提として、わたくしは何もしておりません。
むしろアンバー様との面識は殆どありませんでした。

何故ならばわたくし自身、忙しかったのもありますが周囲の友人達と有意義な時間を過ごせて学園生活は幸せでした。

それに加えて先程から何度も言った通り、わたくしはコーディ殿下が誰と何をしていようとも嫉妬をしたり羨ましいと思ったことは一度もございません。
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