【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで
「!!」
「勿論、私もそうだったのだが……。コーディが条件を満たせない場合は私が……こうならなければいけないと言われていた」
コーディ殿下との婚約が決まる前、わたくしは本来ガルグ殿下の婚約者になる予定でした。
わたくしが六歳、ガルグ殿下が十八の時でした。
しかしガルグ殿下は「こんな自分の婚約者になるのは可哀想だ」と言って一歩引いてしまったのです。
この国を継ぐのに相応しい器を持って生まれてきたガルグ殿下ですが、極度の人見知りと威厳がありすぎる外見、それと本人の強い希望で今までコーディ殿下が王太子としてきましたが、国王陛下達も不安があったのでしょう。
そしてコーディ殿下の暴走が続いた為、万が一にとガルグ殿下にも、覚悟を決めるように言っていたようです。
それに数年前から国も安定して仕事も落ち着いてきた頃に、ガルグ殿下も国王陛下について回り、色々と学んでいたようです。
そしてわたくしが学園でのコーディ殿下の行いやアンバー様の動向を報告して、このような次第になったという訳です。
ベネ子爵家には前々から悪い噂があったそうですが、なかなか尻尾を掴む事が出来なかったそうです。