【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで

「だってぇ、私がバレット様を……っ」

「ミランダ……!なんて優しいんだ」


人の婚約者を奪っておいて優しい?
真実の愛とはこんなにも思考を鈍らせるものでしょうか。


「それにマナーもなってないって……私がマスング公爵家に相応しくないって言われて…っ」

「それは本当か……?」


そう言いつつも若干、バレット様の顔が嬉しそうに見えるのですが気の所為でしょうか?
バレット様から、熱の篭った視線を感じていますが正直不愉快です。


「確かにマナーをもう少し身につけた方が宜しいかとアドバイス致しましたが、マスング公爵家に相応しいかどうかは、わたくしが決めるべき事では御座いません」

「ヴァレンヌは……本当はまだ僕のことが」


ゾワリとした鳥肌を感じたわたくしは、バレット様の言葉を遮るように声を上げました。


「ここでハッキリと明言させて頂きますが、わたくしはバレット様に気持ちは御座いません」

「……っ!?」

「未来の奥様の前で軽率な発言は控えるべきではないでしょうか?」

「未来の奥様…ふふっ、公爵夫人よ!!」
< 88 / 179 >

この作品をシェア

pagetop