【短編集】婚約破棄から幸せを掴むまで
「だってぇ、私がバレット様を……っ」
「ミランダ……!なんて優しいんだ」
人の婚約者を奪っておいて優しい?
真実の愛とはこんなにも思考を鈍らせるものでしょうか。
「それにマナーもなってないって……私がマスング公爵家に相応しくないって言われて…っ」
「それは本当か……?」
そう言いつつも若干、バレット様の顔が嬉しそうに見えるのですが気の所為でしょうか?
バレット様から、熱の篭った視線を感じていますが正直不愉快です。
「確かにマナーをもう少し身につけた方が宜しいかとアドバイス致しましたが、マスング公爵家に相応しいかどうかは、わたくしが決めるべき事では御座いません」
「ヴァレンヌは……本当はまだ僕のことが」
ゾワリとした鳥肌を感じたわたくしは、バレット様の言葉を遮るように声を上げました。
「ここでハッキリと明言させて頂きますが、わたくしはバレット様に気持ちは御座いません」
「……っ!?」
「未来の奥様の前で軽率な発言は控えるべきではないでしょうか?」
「未来の奥様…ふふっ、公爵夫人よ!!」