落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
 捲し立てるヴィーと薄目でにやけるホミ。隣では、リンレンが思わせぶりな笑みを浮かべている。その三人を一歩引いて見る私の心臓は、ばくばくと煩く鳴っていた。
 だって、温かく優しい黄金の陽だまり、なんて言われたら、誰だって驚いてしまうでしょ? いや、もう驚くっていうか、なんていうか、恥ずかし過ぎて叫び出しそう。どうして、会ったばかりの私にそこまで幻想(妄想)を抱けるのか! 
 その時、突然思い出した。ドーランに来て最初の夜、救護所からの帰り道のホミの言葉。
『お姉ちゃんがめちゃくちゃ綺麗だったから、好きになったんじゃないかなあ』……まさか、そんな、ねえ?  
「くくっ、すみません。すごく素敵だと思います。王様の心緒はともかく、みんながよければこの名前で決めたいのですが、どうですか?」
「あたしは賛成! パトリシアお姉ちゃんは?」
「わ、私も」
 リンレンの言う通り「王様の心緒はともかく」名前はとても素敵である。これ以上はないというくらいに。
「じゃあ、決まり! 安心したらお腹が空きましたね。あ、よかったら王様も一緒にどうですか? たいしたものは出せませんが」
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