落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
「マゴットさん。アミュレット制作に関して、秘密は厳守しています! 安心してなんでも言って下さい」
「そ、そう? じゃあ言うわ……こ、こ、子宝に恵まれたい……っていうか、あの、なんていうか……」
 子宝に恵まれたい? 一瞬なんのことだかわからなかったけれど、何度か頭の中で反芻するとだんだん意味がわかってきた。
 意味がわかると同時に、目の前のマゴットの態度と、過日の彼女の言動が結びついて、願いが明確に理解出来た。
「マゴットさん、お子さんが欲しいのですね」
「うん、そう。私もトネリも子どもが大好きなんだけど、なかなか授からなくて。だから、パトリシアのアミュレットの効果にあやかろうかと、ね」
 弱々しく語るマゴットを見つめ、私は考えた。
 ホミやリンレンを我が子のように可愛がる理由。そこには、トネリ夫妻の切実な悩みも含まれていたのだわ。でもそれは、私のアミュレットで叶う願いなのかな。もし、願いを込めても叶わなかったら、今より倍、悲しむことにならないかしら。
 すると、私の心配顔を見てマゴットが慌てた。
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