落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
「まあ、可愛い! これ、紐を長くして首から下げていようかしら」
 アミュレットを手に取り、マゴットが言った。
「それがいいかもしれません。どこに付けてもいいですけど、出来るだけ肌に近いほうがいいって師匠が言っていました。実は私も、服の下で見えませんが首から下げています」
「あたしもよ! ほら見てっ!」
 嬉しそうにホミが自分のアミュレットを見せる。マゴットは「あらあら本当ねえ」と笑って答え、自分のアミュレットを再度見直した。
「ありがとう、パトリシア。いつも身に着けて大切にするわね」
「お礼を言うのはこちらです。こうやってアミュレットを作れるのはトネリさんとマゴットさんのご厚意のおかげなのですから」
「嫌だわ。これじゃあ、さっきの繰り返しね。これからはもう、この件でお礼を言うのは無し! わかった?」
 強気のマゴットは、きりっとした顔で言い切った。
「は、はい。わかりました。以後気を付けます!」
 慌てた私の様子に、周囲に笑いが巻き起こる。みんなの笑顔に釣られて、私も自然と頬が緩む。
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