落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
「そうか。ではこれを食べるといいぞ。屋敷の庭にたくさん出来ていたから持って来た。で、話し合いとは?」
 果物をリンレンに渡し、ヴィーは空いている椅子に座るとこちらを向く。
 私は、さっきまでの話し合いの内容を告げた。ヴィーに話してどうなるものでもないけれど、働いてくれそうな人を知っているかもしれない。話を最後まで聞くと、彼はあっけらかんとして言った。
「ふうん。なら俺が手伝おう」
「……え? 今、なんと?」
「俺が手伝うと……ダメなのか?」
 いや、そうじゃなくて! 普通王様は店で働かないでしょう? 最高権力者を手伝いに使うなんて恐ろし過ぎる。それに、王様も忙しいのだし、時間を割いてもらうわけにはいかな……。
「いいアイデアだと思うよっ! 王様、うちで働く?」
「ホミ? ちょっと、ダメよ。王様は忙しいから」
「忙しくないよ? 忙しかったらうちに来てないもん」
「いや、あの、そんな……もう、ホミっ!」
 無邪気な子どもの特権を、ここぞとばかりに振り翳すホミは、自分がかなり失礼なことを言っているのに気付かない。でもホミの言う通り、忙しかったらここに来ないわよね? と、私も考えた。
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