落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
 そんなわけで、小さな店舗の店先は、多くの人でごった返している。
「うん。素晴らしい仕上がりだ! さすが手先が器用なリンレンだな」
「ありがとうございます、王様」
 掲げられた看板を見上げ、リンレンは誇らしく笑った。ちなみに「ルルド・ファーマシー」の看板は、降ろされたあと店舗の梁の上に飾られた。いつまでも見守って欲しい、という兄妹の願いからである。リンレンとヴィーの少し後ろで、私とホミは薬草茶をみんなに振舞っている。
 すると、ヴィーと共にお祝いに来たティアリエスに肩を叩かれた。彼とは最後に救護所で会ったきりだったので、約一週間ぶりになる。ヴィーによると、救護所での仕事がなくなったティアリエスは、ひたすら神殿で調べものに没頭していたらしい。なにを調べていたのかはわからないけれど、ずっと難しい顔をしていたとか。
「それにしてもドーランも随分と活気づきましたね。一時は戦争が激化するかもとみんな不安そうでしたが。パトリシアの作るアミュレットは本当にすごい」
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