落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
「パトリシアお姉ちゃん。みんなが料理を持って来てくれたよ! ほら、見て!」
「え……まあ、すごい! お祭りみたいね」
 店舗前に用意された大テーブルには、未だかつて見たこともないような大量の料理が並んでいた。
 大きな川魚の見事な丸焼きに、森の幸をふんだんに使った特大キッシュ。果物の盛り合わせは美しく飾り切りされ、芸術作品のよう。香ばしく焼き上げられたパンもこれでもか、というくらいに量があり存在感を放っている。
「おーい! パトリシア! こちらに来い。宴を始めるぞ!」
 ヴィーが叫ぶ。
「はーい。今行きまーす」
私がホミと手を繋ぎ、大テーブルへと向かうと、すぐに宴が開始された。
 みんな最初はヴィーに遠慮して小さな声で話していたけれど、慣れてくるとだんだん無礼講になり、和気藹々と会話し始める。今まで、あまり国民と話すことのなかったヴィーはみんなに囲まれてどこか嬉しそうで……そんな彼を見てなぜだか私も嬉しくなった。
 ホミと座って食事をする私の周りにも、たくさんの人が集まってきてお礼を言ってくれた。
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