落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
「ダメっ! アミュレットは順番なのっ! 割り込みはルール違反なんだからね!」
 隣に座っていたホミが、目を剥いて怒った。うーん、これは昔よく見た光景だわ。小さい頃は女の子のほうが強いから、どうしても上から言っちゃうのよね。かくいう私も、近所の男の子にこんな言い方していたわ……などど、懐かしく思い出していたのに、ホミとキドの言い合いは激化していった。
「なんだよ? 偉そうに言うなよな! アミュレットを作っているのはお姉ちゃんだろ?」
「お姉ちゃんって呼ばないでよ! パトリシアお姉ちゃんはあたしのお姉ちゃんなんだからっ!」
「本当の、じゃないくせに」
「なんですってえー!」
 私を挟んで、小さな戦いが始まった。間でまあまあと諫めるも、ふたりは矛を納めない。「パトリシアお姉ちゃんはあたしのもの」だと腕を引っ張るホミと「僕のアミュレットを作ってよ」と反対の腕を引っ張るキド。
 マインがそれに気付き、慌てて止めようと走り寄る。でも、その時には、私をどうにか引き寄せようとするふたりに揉みくちゃにされ、すでにボロボロだった。
「こらっ! キド! やめなさい! パトリシアさんが困って……」
< 132 / 264 >

この作品をシェア

pagetop