落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
 爆速で飛んできたヴィーは、大地を震わせて降り立つと、すぐさま私を掴んで、また飛び立つ。
「え? え? えーっ?」
 なにが起こったのかわからない私は、ひたすら困惑の声をあげた。その声が聞こえているのかいないのか、ヴィーは爆速で飛行すると、あっと言う間に麓に降りた。そして私を降ろすと、鼻先を近付けて言ったのだ。
「大丈夫か? 苦しいところはないか? 痛みはどうだ?」
「は……あ、はい、大丈夫ですが……」
「ああ、よかった! どうやら間に合ったようだな。神よ、感謝します!」
 神に感謝する前に、どういうことか説明してもらえませんか? ちょっと前に火山に連れてきた張本人が、すぐに迎えに来て間に合った!って、話の辻褄が合わないじゃないの!
「あの、なにがどうしたのでしょうか? 私、罰を受けなくていいのですか?」
「そ、そうだ、その件だな……うん」
 そういうとヴィーは竜の姿から人の姿に変化した。それから、一歩、二歩と近付いてきて、目の前までくると深々と頭を下げたのだ。
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