落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
「すまなかった! ろくに話も聞かず、怒りの感情のままにお前に酷いことをした。傷付き怖い思いをしただろう。こんな愚かな俺をどうか許してほしい!」
「そんな許すだなんて! 私が獣人の振りをしてこの国に入り込んだのは事実です。だから、誰も悪くない。悪いのは私。謝るべきは私なのです」
「……いや、お前はなにも悪くない。真実はホミとリンレンから聞いた。命がけでホミを助けてくれたのだろう? それに、ウェアラビットの兄妹を守るために嘘まで吐いて。お前に感謝こそすれ、憎むものなど俺を含め誰もいない。みんな、帰りを待っている」
「えっ。でも、あの、私は人間ですよ。みなさんの敵ではないですか。ドーランで暮らしていいのでしょうか?」
 ホミとリンレンの元に帰れるのは嬉しいけど、ドーランの歴史やヴィーの気持ちを考えると、何食わぬ顔で帰るのも憚られる。
 そんな私に、胸を張ってヴィーは言ったのだ。
「もちろんだ! ああ、それからもうひとつ。みんなの元に帰る前に聞いて欲しいことがある」
「なんでしょうか?」
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