落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
 いつものようにアミュレット作りに没頭していると、ちょうどお客さんが切れたタイミングで唐突にヴィーが言った。
「明日は店を休みにして、俺の屋敷に遊びに来ないか?」
 なんの脈絡もなく言ったので、私もホミもリンレンも、手を止めて呆然とヴィーを見た。「俺の屋敷」ということは王様の居城、いわゆる王宮ってこと? でもなぜこのタイミングで言ったの? 昼食を食べながらとか休憩の時間とか、いろいろあるでしょうに……。
「王様のお屋敷? あの無駄に大きいところ?」
 ホミが無邪気に失礼なことを言った。業火の山事件から、ホミはヴィーにちょっと冷たい。リンレンに聞くと、私を山に置き去りにした時、怒りのあまりヴィーに殴りかかったというから、その蟠りがまだ尾を引いているのかもしれない。私的には、それほどまでに慕われて嬉しいのだけど、このまま職場の雰囲気が微妙なのはいただけない。このお誘いは、仲直りのチャンスかも……。
「へえ、そんなに大きいお屋敷なのですか? 行ってみたいなあ」
「そ、そうか! 興味があるか?」
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