落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
 私が言うと、ヴィーが嬉しそうに笑った。すると、リンレンも話に乗る。彼もこの状況をなんとかしたいと思っているのだ。
「僕も行ってみたいです。遠くから見るだけで中に入ったことはないし、昔の本とか文献も多いのでしょう?」
「ああ、たくさんあるぞ。大きな書庫があってな、ティアリエスが管理しているのだが、俺のものだから好きに見ていい。歴史書、占星術書、薬草学書、経済学の本から料理本まで、幅広く置いてあるな」
「料理本? まさかそれは、竜族に伝わる秘伝のレシピとか……」
「うーん、内容は知らないが……本はかなりぶあつかったと思う。ひょっとしたら秘伝のレシピもあるかもな」
 リンレンは瞳を輝かせた。彼は最近料理を振舞う人が増えて上機嫌だ。前はホミとふたりだけの食卓だったけれど、今は、私もいるしヴィーもいる。また、ヴィーがたくさん食べるので、作り甲斐があると喜んでいた。
 リンレンは行く気満々だけど、肝心のホミはどうかしら? そう思い彼女を見ると、なんだかそわそわしている。ちらちらとヴィーを見上げ、なにか言いたげな様子だ。
「ねえ、ホミはどうする?」
< 165 / 264 >

この作品をシェア

pagetop