落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
ヴィーの先導で、私たちは王の屋敷に足を踏み入れた。この周辺は聖域とされていて、獣人たちは足を踏み入れない。敷地内にティアリエスの神殿があるからかもしれないけど、この場所の持つ、独特の静けさが、なんとなく足を踏み入れにくくしていることも原因のひとつかもしれない。広いホールを抜け、長い廊下を通り過ぎると緑豊かな中庭があった。更に奥に進むと、円形になった部屋に通された。ぐるりと三百六十度、一面に書物。中央には大きなテーブルがあって、そこで調べものとかが出来るようだ。
「ああ、みなさん。おはようございます」
テーブルには、穏やかに笑みを浮かべるティアリエスがいた。彼は先日持って来たアブロシアの手記を前に広げ、両脇に本を山積みにしている。学者気質、ここに極まれり、といった姿だ。
「おはようございます、ティアリエスさん。朝から調べもの、大変ですね」
「朝からではないぞ? こいつは一昨日の夜からここにいる」
「ええっ? ずっとですか?」
「ああ、みなさん。おはようございます」
テーブルには、穏やかに笑みを浮かべるティアリエスがいた。彼は先日持って来たアブロシアの手記を前に広げ、両脇に本を山積みにしている。学者気質、ここに極まれり、といった姿だ。
「おはようございます、ティアリエスさん。朝から調べもの、大変ですね」
「朝からではないぞ? こいつは一昨日の夜からここにいる」
「ええっ? ずっとですか?」