落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
また、たまに挟まれる挿絵の生々しい描写は、思わず目を背けたくなるほどのものだった。
たまらず私は席を立ち、中庭に向かった。みんなのいるところで、平静を保つ自信がなかったからだ。
中庭に行くと、シャキシャキとなにかの音がした。見回してみると、そこには植木の剪定をしているヴィーがいる。彼は私に気付くと、屈託なく笑った。
「どうしたパトリシア?」
「あ、ええ。ちょっと外の空気が吸いたくなって……」
「……ああ、もしかして幻獣戦記を読んだのか?」
答える代わりに私は小さく頷いた。
「お前が気にすることはない。邪な人間がやったことだ」
彼の慰めは嬉しかった。けれど、私が考えていたこととは少し違っていたのだ。
「いえ……そうじゃなくて。私、人間の中にも、いい人も悪い人もいるから、偏見を捨ててほしい……そして、みんなで仲良く出来たらいいな、なんて考えていたのです。でも、あの本を読んで、ヴィーが人間を憎む気持ちが痛いほどわかって。自分が世間知らずで愚かだったことに気付いたのです」
たまらず私は席を立ち、中庭に向かった。みんなのいるところで、平静を保つ自信がなかったからだ。
中庭に行くと、シャキシャキとなにかの音がした。見回してみると、そこには植木の剪定をしているヴィーがいる。彼は私に気付くと、屈託なく笑った。
「どうしたパトリシア?」
「あ、ええ。ちょっと外の空気が吸いたくなって……」
「……ああ、もしかして幻獣戦記を読んだのか?」
答える代わりに私は小さく頷いた。
「お前が気にすることはない。邪な人間がやったことだ」
彼の慰めは嬉しかった。けれど、私が考えていたこととは少し違っていたのだ。
「いえ……そうじゃなくて。私、人間の中にも、いい人も悪い人もいるから、偏見を捨ててほしい……そして、みんなで仲良く出来たらいいな、なんて考えていたのです。でも、あの本を読んで、ヴィーが人間を憎む気持ちが痛いほどわかって。自分が世間知らずで愚かだったことに気付いたのです」