落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
 近くにいた通行人に聞くも、彼はただ首を傾げるだけ。住民が知らない、ということは、たった今、なにかが起こったのかもしれない。
 私は、警備隊を追って人波を駆け抜けた。言いようのない胸騒ぎがしたからだ。遅刻したヴィー、慌てる警備隊。まさか、またバーディアが、侵攻を開始したのでは。アミュレットのせいで攻撃をやめていたけれど、それに対抗する強い魔術を手に入れたのかもしれない。
 不安な思いを抱えながら、一心不乱に駆ける。すると、森の西の入り口付近に簡易的に設営されたであろう陣営があった。その中ではティアリエスが、警備隊の救護で忙しなく働いている。
「ティアリエスさん! なにかあったのですか?」
「パトリシア? どうしてここに?」
「あ、あのヴィーが仕事に来ないので、様子を見にいこうとしたのです。でも、途中で警備隊のみなさんが慌ただしく駆けていくので何事かと……」
「ああ……なるほど。しかし、今すぐここから離れたほうがいいですね」
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