落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
「ティアリエスさん! 一刻を争います、案内して下さい! 私が無事だと知れば、ダルシアはきっと攻撃をやめてくれるはずです!」
「いえ、たとえそうだとしても、あなたを危険なところに連れていくのは承服しかねます。今前線で食い止めている王が許さないでしょう」
 ティアリエスは難しい顔をした。西側入口付近からは、激しい音が響いている。応戦している獣人たちの怒号に時折、悲鳴が混じったりもしている。戦場での安全は保証されない。その中でヴィーは体を張って頑張っている。だから……。
「私は行きます! ヴィーやみんなに守られて、のうのうと眺めているなんて出来ませんからっ!」
「……まったく。わかりました。あなたを森の戦場に導きます。しかし、覚悟して下さい。恐らくそこは酷い有様ですよ?」
「はいっ」
 意気込んで言うと、ティアリエスは諦めたように大きく息を吐いた。
 陣営のテントを出て、私たちは西側入口の前に来た。不思議なことに、激しい音はしているけれど、森の中の様子は全然見えない。警備隊は、蜃気楼のようにぼんやりした風景から、飛び出したり飛び込んだりを繰り返している。
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