落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
「これが結界……間近で見るのは初めてです」
「私が使うのは幻影の結界といい、惑わし真実を隠すもの。外側の結界は破られましたが、直後に内側から張り直したのでしばらくは持ちます。時間の問題ですがね」
「大丈夫です! すぐに争いは止みますから」
「そう願います」
 力強く言うと、ティアリエスはなにかを小さく呟いた。言語ではない……気がした。それは歌のようにメロディーがあり、人智を超えた荘厳な響きを持っている。ティアリエスの神秘的な詠唱が終わると、蜃気楼のように揺らめいていたものがなくなり、前方に道が姿を現した。
「気を付けて。王を……ヴィランを頼みます」
 いつになく、心配そうなティアリエスの表情に、私は強く頷いた。
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