落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
「説明している暇はありません。どうか私を兄に会わせて下さい。きっとそれで解決するはずです!」
 そう、解決方法は簡単だ。国王と神官長に騙されている兄を止めるには、私の元気な姿を見せるだけでいい。しかしヴィーは、苦悶の表情を浮かべた。
「そうか……そうしてやりたいが、少し遅かったようだ。向こうは今、最大級の光魔術の詠唱を終えた。天を見ろ」
 翼の隙間から上を見ると、空に無数の光の線がまるで槍のように待機している。ああ、知っているわ。あれは、ダルシアの魔術「ホーリーレイン」。槍のように降る光の雨、という姿からその名が付けられた。 
 最強にして最高、ダルシアを聖騎士と言わしめた光の魔術である。そして、発動すれば、対象を滅ぼすまで解除されない強力な魔術でもある。
「あの魔術を止めるには、この身を盾にする他はない」
「え……待って下さい、それではヴィーが……」
「ああ、持たないだろうな。だが、お前とドーランは守ることが出来る。それだけで満足だ」
「な、なにを言っているんですか! ダメです、ここから逃げましょう! 遠くまで飛べばなんとか……」
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