落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
 ううん。もうそれが出来ないことは、私もヴィーも知っている。ホーリーレインは、すでにヴィーに向かって放たれた。あとは……。
 考えうる最悪の結末を、私は受け入れることが出来なかった。
 ヴィーが死ぬ。ダルシアの放った魔術で、死ぬ。
 ……嫌、嫌よ。そんなの絶対、嫌。ヴィーを失いたくない!
『願えばよい』
 突然頭の中に声が響いた。それは、老人のようであり、老婆のようであり、また、子どものようでもある不思議な声だ。更に声は続く。
『どうしたいのかを願え。献身と慈愛の化身、高潔なる魂を持つ者よ。我が名は森羅万象。この世界の意思』
「森羅万象……」
 その名を聞いたことがある、と思った。順序立てて考えれば思い出せただろうけど、今はそれどころじゃない。ホーリーレインはまさにヴィーの背中まで迫っていたのだから。
「私は願う! 愛する人、愛する人たちを守る光の壁を! ホーリーシールドっ!」
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