落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
「ああ、私のせいだな。誤解とはいえ、酷いことをしてしまった。竜の王、すまない」
「いや、騙されていたのなら仕方ないだろう」
「詫びにはならないが、怪我をした者の治療魔術を任せてもらいたい」
 言うや否やダルシアは、天に向かって両手を広げると治癒の術式を詠唱した。すると、キラキラと光の粒子が舞い降りて、周囲の警備隊やヴィーに降り注ぐ。粒子は彼らの傷口に付着して瞬時に傷を塞いだ。
「おお。痛みが引く。なんと不思議な」
「傷もなくなっていくぞ」
 警備隊のみんなは口々に言う。ヴィーも生々しい傷口が消えたことに驚き、全身をくまなく眺めている。さっきまで、ダルシアを警戒しながら遠巻きで見ていた警備隊は、今や尊敬の眼差しを彼に向けていた。
「効果範囲を広げておいた。ドーラン国内の怪我人も治ったはずだ」
「ありがとう、ダルシア」
「当たり前のことだ、礼はいらない。だが、森は元には戻せないんだ。私の魔術はそこまで万能ではないのだ、悪いな」
「ああ、そうですね。でも、いや……私、出来るかもしれません」
< 201 / 264 >

この作品をシェア

pagetop