落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
 町の真ん中で、獣人の花売りの女性に一輪の花を渡され、ダルシアは面食らった。花売りの女性はダルシアを見て頬を染め、恥ずかしそうに微笑んでいる。ああ、これはよく見た光景だわ。とにかくやたらと顔がいいダルシアは、昔からよくモテた。町を歩くだけで女性に見つめられ、微笑めば気絶する人もいるくらいだ。
「俺への態度とだいぶ違うようだが?」
 ぶすっとしてヴィーが言う。でも、それは仕方ない。ヴィーもすごく格好いいのだけど、なんというか威厳があり過ぎて……はっきり言って怖いのだ。
「みなさん遠慮しているのですよ。王様には話しかけにくいじゃないですか」
「そうか? ホミなどは言いたい放題だぞ」
「あ、あー……それは、子どもだから、ですよ」
 ちょっと苦しい言い訳だったかしら? と思ったけれど、ヴィーは素直に「そうだな」と納得した。
 町を抜け見慣れた坂道を登ると、もう陽だまり雑貨茶房である。店の前にはホミとリンレンがいて、私の姿を確認すると全力で駆けてきた。
「パトリシアお姉ちゃん! 遅いから心配したよ。なにがあった……ん? あれ?」
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