落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
「ああ。おい、ティアリエス! グラウニクはどうしてバーディアにいると思う? あの腹黒がやらかしそうなことを教えてくれ」
「……ええ。もちろん、教えますよ。あの男が関与しているなら、話は簡単。書庫で伝説の宝の記述を見付け、関わりのある書物を盗んでバーディアに行き、国王を騙し抱き込んだのでしょう。それもこれも、自分がその宝を手に入れるため」
ティアリエスは忌々しそうに言い放つ。学者気質の彼だから、なによりも書物を持っていかれたことが痛手なのだ。しかも、自分が研究しているアブロシアの書物を盗まれたのならなおさらだ。
そんな怒り心頭なティアリエスにアレンが尋ねた。
「待ってくれ。その宝で妻を蘇らせることは出来るのだろう? そう聞いたのだが」
「それは私に聞かれてもわかりません。聞くならパトリシアでしょう」
「なぜ、だ?」
アレンはチラリと私を見て首を傾げた。まさか、その伝説の宝を私が持っている、いや私の中にあるなんて考えもしないと思う。当の本人だって、まだ信じられないのだから。
「パトリシアが伝説の宝を手に入れ、賢者となったからです」
「……ええ。もちろん、教えますよ。あの男が関与しているなら、話は簡単。書庫で伝説の宝の記述を見付け、関わりのある書物を盗んでバーディアに行き、国王を騙し抱き込んだのでしょう。それもこれも、自分がその宝を手に入れるため」
ティアリエスは忌々しそうに言い放つ。学者気質の彼だから、なによりも書物を持っていかれたことが痛手なのだ。しかも、自分が研究しているアブロシアの書物を盗まれたのならなおさらだ。
そんな怒り心頭なティアリエスにアレンが尋ねた。
「待ってくれ。その宝で妻を蘇らせることは出来るのだろう? そう聞いたのだが」
「それは私に聞かれてもわかりません。聞くならパトリシアでしょう」
「なぜ、だ?」
アレンはチラリと私を見て首を傾げた。まさか、その伝説の宝を私が持っている、いや私の中にあるなんて考えもしないと思う。当の本人だって、まだ信じられないのだから。
「パトリシアが伝説の宝を手に入れ、賢者となったからです」