落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
「なにっ!」
「姑息な奴め!」
「ヴィー、ダルシア、いいのです」
 毅然とした態度で言うと、ヴィーとダルシアは口を挟むのをやめた。彼らは、私の思考を理解したように頷き、全てを任せてくれた。
「グラウニク、あなたの言う通りにします。でも先にホミの無事を確かめさせてくれませんか?」
「物分かりがいいようで安心しました。では……」
 グラウニクはこちらを警戒したまま、すぐ後ろのカーテンを捲る。するとそこに、ホミがいた。縄でぐるぐるに縛られ、上から吊るされて、気を失っているのか全く動かない。
「なんてことを! ホミはまだ子どもなのにっ!」
 冷静でいようと思った。グラウニクに対抗するには、熱くなってはいけない。そう心がけていたのに、大事な妹が痛めつけられている姿を見て、生まれて初めて怒りを感じた。心の中に渦巻くどす黒い感情に、森羅万象が警鐘を鳴らしている。わかってる、でも、抑えられない!
「パトリシア、落ち着け」
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