落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
 目の前のグラウニクは、狂気の如く叫ぶ。その様子は地獄に落とされた罪人がマグマで焼かれているように見えた。おかしいわ。邪悪な心が消えるようにと願っただけなのに、どうしてグラウニクはこんなに苦しむの? 黒い煙が邪悪な心の具現化だとすると、どうして、グラウニクからはまだ煙が出ているの?
 疑問に思う私の目の前で、更に信じられないことが起こる。なんとグラウニクの体が、ポロポロと崩れ出したのだ。渇いた粘土が劣化で剥がれるように、または、鉄が錆びてもろくなったように。その体は、跡形もなくなってしまったのである。
「パトリシア、グラウニクになにが起こったのだ? なぜ消えたのだ?」
 驚いたダルシアが問いかけてきた。「よくわかりません」と言いかけた私に、内なる声が助言する。
 森羅万象が語った理由をそのままヴィーやみんなに伝えた。
「グラウニクには邪悪な心しかなかったのです。だから全て消えてしまった」
「なるほどな。これは奴に相応しい末路だろう。っと、それどころじゃない。ホミを助けてやろう」
「ええ。早くお願いします!」
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