落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
「これが……幻獣の国、ドーラン……」 
 迷いの森の秘密の入り口を抜け、私はドーランへと足を踏み入れた。秘密の入り口は、東と西に二か所あり、リンレンたちの案内してくれたのは西側だった。普段はドーランの祭祀、幻獣ティアリエスにより固く封印され、国民以外を通さない。しかし、国民の誰かと一緒なら、通行可能という仕組みである。
「どうですか? こんな森の中にちゃんとした町があるなんて、驚きでしょう?」
「ええ。もうびっくり……」
 得意げなリンレンに、私は頷いて見せた。
 ドーランの町は、レンガ造りの可愛らしい住宅が並び、道路も整備された画期的なものだった。大通りを行き来する国民はみんな獣人で、リンレンたちのようなウサ耳、ワイルドなイヌ耳、その他いろいろな獣人がいるようだった。
「緊張してきたわ。本当にバレないかしら?」
「平気よー。お姉ちゃん、どこから見ても獣人だもん!」
「しっ! ホミ、声が大きい。誰かに聞かれたら……」
 というリンレンの言葉は突然遮られた。
「こら、お前たち。また森に行っていたのか? 王様に怒られたばかりだろう?」
「ト、トネリさん……驚かさないでよ」
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