落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
 もう、すでに捕まっていますよ。とは、とても言えなかった。ホミが私を見て「黙っていて!」という表情をしたからだ。知られるときっと大目玉を食らう、それが怖いのだ。でも、元より言うつもりはない。言えばいらない詮索をされる可能性がある。ここはひとつ、助け船を出しておこう。
「まあまあ、トネリさん。これからは私がちゃんと見張っていますので安心して下さい」
「頼むよ、パトリシア。リンレンもしっかり見張っていろよ」
「う、うん」
 歯切れの悪い返事のリンレンは、ホミを見て小さくため息を吐いた。ホミはトネリのしつこい念押しが気に入らないのか、ぷうっと頬を膨らませている。そんなふたりの頭をポンと叩き、トネリは笑って去っていった。
「ホミは薬草を探しに森に来ていたんだね」
「そうなの。アロイーズはなんにでもよく効くから。でも、最近はあまり取れなくて……昨日も今日も探していたんだけど、ひとつも見付けられないの」
 ホミはがっくりと肩を落とす。すると、リンレンが励ますように言った。
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