落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
 ヴィーやティアリエスを騙すのは心が咎めたけれど、今、人間だとバレるのはよろしくない。私を匿ったリンレンやホミに迷惑をかけてしまうから。
 この心優しき兄妹を守るためなら、嘘だって吐くわ!
「うん、そうだと思ったよ! 獣人や幻獣はどんな種族よりも優れているからな。ティアリエス、そういうわけだそうだ」
 ヴィーは豪快に笑った。
「はあ……ま、いいでしょう。私としても、聖なる力について詳しく知りたいと思っていましたからね」
 そういうと、ティアリエスはアミュレットを私に返した。
 一応、危機は脱したみたい? ホミとリンレンに視線を向けると、彼らもほっとした表情でこちらを見つめ返していた。正体がバレそうだったけれど、これでやっと本日の目的が果たせるわ。
「では、このアミュレット、みなさんにお配りしてもいいでしょうか?」
「もちろん。あなたの優しい気持ちが込められたものなら、みんな喜ぶでしょう。そうだ、王、まずファルを紹介しては?」
「ああ。パトリシア、獣人のまとめ役である警備隊長を紹介しよう。付いてこい」
「はいっ! ありがとうございます!」
 身を翻し颯爽と歩くヴィーの背を急いで追う。
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