落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
「こちらにいるパトリシアさんから、アミュレットというお守りをもらった。警備隊のためを思って作ってくれたのだそうだ。ひとりひとつずつ感謝しながらいただくように!」
ファルの大演説に救護所は熱気に包まれた。獣人たちは元気よく「はいっ!」と返事をすると、アミュレットの袋を持つ私の前にきちんと整列した。みんなにお礼を言われて、真っ赤になる私の元から、次々となくなっていくアミュレット。
やがて袋が空になると、ヴィーが言った。
「ぜ、全部無くなったのか?」
「ええ。総勢二十名、全ての人がもらってくれたようです。よかった……あ、れ? どうしました?」
ヴィーの肩がわなわなと震えている。びっくりして表情を窺うと、彼は眉間に皺を寄せ、口をへの字に結び、どう見ても「怒り」の形相である。
え? なんで? どこに怒る要素があったの? アミュレットも無事配り終えたし、もう意味がわからないわ。
ポカンとする私にヴィーが言い放った。
「俺の分が無いではないか!」
「……は?」
「当然あると思っていたのだ。それなのに……な、無いとは……」
「あ、あー、そういう……」
ファルの大演説に救護所は熱気に包まれた。獣人たちは元気よく「はいっ!」と返事をすると、アミュレットの袋を持つ私の前にきちんと整列した。みんなにお礼を言われて、真っ赤になる私の元から、次々となくなっていくアミュレット。
やがて袋が空になると、ヴィーが言った。
「ぜ、全部無くなったのか?」
「ええ。総勢二十名、全ての人がもらってくれたようです。よかった……あ、れ? どうしました?」
ヴィーの肩がわなわなと震えている。びっくりして表情を窺うと、彼は眉間に皺を寄せ、口をへの字に結び、どう見ても「怒り」の形相である。
え? なんで? どこに怒る要素があったの? アミュレットも無事配り終えたし、もう意味がわからないわ。
ポカンとする私にヴィーが言い放った。
「俺の分が無いではないか!」
「……は?」
「当然あると思っていたのだ。それなのに……な、無いとは……」
「あ、あー、そういう……」