落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
体の力が抜ける。ファルの傷が、思ったより深手だったのか、生命力をガッツリと持っていかれたみたい。重力に抗えなくなった体は、もう崩れ落ちるだけ……。
そう思った瞬間、逞しい腕が私の体を支えた。
「パトリシアっ!」
「ヴィー……すみません……」
「いいのだ。そうか『なにも出来なくなる』とは、こういうことなのだな。無理をすることはない。俺が支えてやる」
「ありがとう、ございます」
やっとの思いでひとことを返すと、ヴィーに甘えて目を閉じた。ヴィーは近くの空きベッドに私を運んでくれ、その後、周りでいろんな声が聞こえてきた。心配して半泣きのホミとリンレンの声。それを宥めるティアリエスの声。他の獣人もいるのか、しばらく辺りはざわざわしていた。
しかし、それは竜の一声で制される。
「うるさいぞ。パトリシアが休めないではないか」
たちまち周りは静かになった。静穏が続くと、また疲労がどっと襲ってきて意識を手放す。そして私は、いつの間にか深い眠りに落ちていた。
ふわふわと浮かんでいる夢を見ていた。体が軽く、足も地面に付いていない。鳥になったのだろうか? それとも、飛んでいる?
そう思った瞬間、逞しい腕が私の体を支えた。
「パトリシアっ!」
「ヴィー……すみません……」
「いいのだ。そうか『なにも出来なくなる』とは、こういうことなのだな。無理をすることはない。俺が支えてやる」
「ありがとう、ございます」
やっとの思いでひとことを返すと、ヴィーに甘えて目を閉じた。ヴィーは近くの空きベッドに私を運んでくれ、その後、周りでいろんな声が聞こえてきた。心配して半泣きのホミとリンレンの声。それを宥めるティアリエスの声。他の獣人もいるのか、しばらく辺りはざわざわしていた。
しかし、それは竜の一声で制される。
「うるさいぞ。パトリシアが休めないではないか」
たちまち周りは静かになった。静穏が続くと、また疲労がどっと襲ってきて意識を手放す。そして私は、いつの間にか深い眠りに落ちていた。
ふわふわと浮かんでいる夢を見ていた。体が軽く、足も地面に付いていない。鳥になったのだろうか? それとも、飛んでいる?