落ちこぼれ白魔術師ですが、潜伏先の幻獣の国で賢者になりました ~絶対に人間だとバレてはいけない、ドキドキスローライフは溺愛付き~
夢見心地のまま、うっすらと目を開けると、目の前に誰かの頭が見えた。黒い髪の男性の後頭部……? え、ええっ?
状況を理解するのに時間はかからなかった。疲れ果て眠ってしまった私は、どうやらヴィーに背負われて、家に帰っている途中らしい。
「王様、早く早くー」
前方からホミの軽快な声が聞こえる。
「駄目だ。早く歩くとパトリシアが起きてしまう。せっかく美しい月の夜なのだ。ゆっくり帰ろう」
「ふふっ、王様が誰かに気をつかうところ、僕、初めて見ました」
「酷いじゃないか、リンレン。俺はいつも気をつかっているが?」
ヴィーの言葉に兄妹は高らかに笑った。みんなの会話を聞きながら、起きる機会を失った私は、目下嘘寝の真っ最中である。
起こさないようにとゆっくり歩くヴィーの優しさに、迂闊にもキュンとしてしまい、口を挟めなくなってしまったのだ。
「パトリシアはお前たちの親戚だったな。彼女に親はいるのだろうか?」
「えっ……あ、いえ、流行り病で亡くなったと聞いています」
「そうか……それは気の毒なことだ。お前たちも早くに両親を亡くしているから、パトリシアが来てくれてよかったな」
状況を理解するのに時間はかからなかった。疲れ果て眠ってしまった私は、どうやらヴィーに背負われて、家に帰っている途中らしい。
「王様、早く早くー」
前方からホミの軽快な声が聞こえる。
「駄目だ。早く歩くとパトリシアが起きてしまう。せっかく美しい月の夜なのだ。ゆっくり帰ろう」
「ふふっ、王様が誰かに気をつかうところ、僕、初めて見ました」
「酷いじゃないか、リンレン。俺はいつも気をつかっているが?」
ヴィーの言葉に兄妹は高らかに笑った。みんなの会話を聞きながら、起きる機会を失った私は、目下嘘寝の真っ最中である。
起こさないようにとゆっくり歩くヴィーの優しさに、迂闊にもキュンとしてしまい、口を挟めなくなってしまったのだ。
「パトリシアはお前たちの親戚だったな。彼女に親はいるのだろうか?」
「えっ……あ、いえ、流行り病で亡くなったと聞いています」
「そうか……それは気の毒なことだ。お前たちも早くに両親を亡くしているから、パトリシアが来てくれてよかったな」