君にたくさんのありがとうを



「あっ……ごめん、2人とも。人待たせてたの忘れてた」



ギュッと抱き合って、涙が止まった頃、大事なことに気がついた。



「人って?」


「あ、もしかして神代くん?」



未奈ちゃんの言葉に頷く。



「本当に付き合ってるんだ、2人」


「そうなの……そろそろ行かなきゃ……!」



改めて付き合っていることを口にするのは、やっぱり恥ずかしい……


でもそんなことよりも待たせている神代くんが心配だ。


私が教室に戻ってきてから、かれこれ30分くらいは経っている。


もしかしたら帰ってしまったかもしれない。


でも、神代くんのことだから待っているかも……



「行きなよ、詩織」


「また明日話そ!詩織っ」


「うん、ありがとう!」



また明日と言えるのがとても嬉しい。


嬉しさのあまり、また涙がこぼれそうになった。


英里ちゃんと未奈ちゃんに見送られて、急いで教室を出た。


ごめん、神代くん。


廊下を全速力で走って、生徒玄関へ向かった。




< 200 / 205 >

この作品をシェア

pagetop