君にたくさんのありがとうを
「神代くーん!」
生徒玄関で壁にもたれて待っている神代くんの姿が見えた。
「詩織ー!」
私の声に気づいた神代くんが私の方へと手を振った。
「本当にごめんっ、遅くなっちゃって……」
走ってきたせいで息が切れる。
「いいよ。ゆっくり息整えて?」
神代くんの言葉に甘えて、ゆっくりと深呼吸をした。
数回深呼吸をして、やっと息切れが治まってきた。
「大丈夫そう?」
「うん、ありがとう」
「じゃあ、帰ろっか」
「うん」
差し出された手を握る。
最初はとても緊張したけれど、最近は慣れてきて、自然と繋げるようになった。
神代くんと手を繋いで帰る帰り道は、とても幸せな時間だった。
「どう?浅倉と笹崎とはちゃんと話せた?」
「……へっ?」
「ごめん、盗みみようとしたわけじゃないんだけど、詩織がなかなか戻ってこなかったから様子を見に行ったんだ」
「そっか、そうだったんだ」
英里ちゃんと未奈ちゃんと話してきたことを知っていたから、また予知夢でも見たのかと思った。
もう見られなくなったって言っていたのに。
「随分と長く待たせちゃったよね、ごめんなさい」
「いいんだよ。それで、ちゃんと浅倉と笹崎とは話せた?」
神代くんは優しく聞いてくれた。