裏側の恋人たち
「ところで、ふみかさんと福岡先生ってどんな関係なの」
「どんな関係って、ただの同僚よ。同じ病院でも担当の科も違うから先生が当直の時くらいしか顔も合わせないし」
どんなもこんなもないのだけれど。
「えー、それだけ?それにしては福岡先生ってふみかさんのこと気にしすぎじゃない?佐野くんと話してるふみかさんのことすっごく気にしてたし」
「気にされてるかな。ああ、そういえば福岡先生って餌付けが趣味らしくて。最近病院で当直の度にお菓子もらってた」
「・・・・・・ねぇ、それってふみかさんに特別にってことじゃないの」
「違うわよ。今日ね、ここに来てから初めて先生からお菓子をもらったんだけど、それって昨日の曽根田さんとのデートのお土産だったの。さっき曽根田さんからもらった栗まんじゅう、昼間に福岡先生にもらったのと同じだった。特別だったらデートのお土産なんて渡さなくない?あ、そもそも私が先生の特別なら先生は他の女の子とデートなんてしないでしょ。しかも相手は自分に気があるってわかってる相手だし」
「なるほど、なるほど。要するにふみかも多少は福岡先生のことがいいと思っていたのに、あっちは若いイケイケ女子の圧力に負けてなびいてしまったからそれが面白くない、と」
え、そういうこと?
ニヤニヤしている千秋さん。
「え?私がフラれたの?知らないうちにそういうこと?」
うそでしょ。
福岡先生のことは嫌いじゃないけど、男性としてどうとかプライベートでどうにかなりたいなんて思ったことないんだけど。
クマさんみたいでどっしりしてて、話し方も優しいし、嫌いじゃない。
嫌いじゃないけど・・・・・・。
「あーら、まあ。そうなんだ。ふんふん。でもさ、あの子と福岡先生ってホントにまとまったのかしら。ふみかさんと佐野くんが話してると福岡先生が反応するからふみかに気があるのかと思ったけど、違うのかなぁ。二股かけるタイプにも見えないけど。ーーひとは見かけによらないって言うし」
「違うと思うよ。福岡先生は仕事以外の私のことなんて知らないから私の態度に驚いたみたい。先生のイメージと違ったらしくて。やっぱりマリアイメージなのかも。今日なんて佐野くんと話してた時のこと、病院で私が親しい後輩と一緒にいるときにも見たことないねとか言われちゃった。わたし仕事はちゃんとするから、ほっといて欲しい。明日からはぜひ自分の彼女のことだけを気にして頂きたいって思うのよね」
「そういえば曽根田さん、昨日楽しかったとか言ってたね。あれはデートの話か」
「でしょ。ーーーねえ、千秋さん明日帰っちゃうのよね。あと数日居残りって出来ないの?防波堤が欲しいんだけど」
私の心からのお願いだ。
「ごめんね。頑張れとしか言えないわ」
「そうだよね。やっぱり理事長に直訴か・・・・・・イチャイチャ見せられるのがウザくて辛いから帰してくださいって」
そう言って2人で笑った。
「曽根田さんだっけ、彼女もまだ余裕がないのね、福岡先生に話しかけながらいちいちふみかさんに突っかかってきてるように見えたし」
「そっか。自信がないからあの態度なのかーーー」
どうにもならないことは仕方ない。
もう少し雑談をすると、東京に戻ってから飲みに行こうと約束をしてお開きにした。
この仕事を受けたことで新しい友達が出来たのは大きな収穫。
帰京まであと数日。
明日からも頑張ろう。