裏側の恋人たち
確かにね。
そう思われても仕方ない。
だってそうなのだから。

夕方現地からホテルに戻り、他のチームと同様本部に簡単な業務報告をすると私は自室に戻り着替えをして早い時間に夕食を済ませてしまう。
そうして福岡先生たちの仕事が終わるのを待って本部に入り作業をしていた。


「僕はどうして避けられているんだろう。教えて欲しい」

福岡先生の真っ直ぐな視線に視線を下げた。

「・・・・・・すみません。仕事に私情を挟むのはどうかと思っていましたけど」

考えてみれば実に子どもっぽい態度だ。
イライラするから顔を合わせたくないだなんて。
でも、それをそのまま伝えるのも抵抗がある。

「避けていたのは間違いないってことだね」

「人間関係に疲れました。休日だった日曜日と美原さんが来てくれた月曜日は気分転換できましたけど」

「僕はそんなに浜さんにストレスをかけていたのかな」

「先生に、と言うかーーー先生と曽根田さんにですかね。初めの数日間は曽根田さんが一方的だったようなので多少盾になるのも仕方ないかと思いました。でもこっちは仕事なのに毎日あれはちょっと。・・・・・・仕事を言い訳にお二人を避けることが出来るのならと思ってしまいました」

「僕と曽根田さんーーーそうか」

「・・・・・・」

福岡先生が両腕を組んで目を閉じた。

「明日はもう最終日ですし、午後からは私も本部で仕事をします。大人げなく先生を避けることもしません。でもこれを聞いた先生がわたしのことを不愉快だと思われるのでしたら報告書は自室で作成します。ただ撤収作業は松江さんの負担が大きくならないように一緒にやらせて頂きます。・・・よろしいですか」

「ーーねえ、浜さん」

福岡先生がソファーの背から身体を起こし、背筋を伸ばした。

「君は僕の事をどう思っているの?」

「え?」

「僕は曽根田さんの事を一緒に働くナースだと思っている。浜さんの事はそれと違う。浜さんに特別だと思われたい。僕はもっと近い関係になりたいと思ってるんだ。迷惑かな」

何をーーー

「曽根田さんを弄ぶおつもりですか」

「君、何を言ってーー」

「それとも、私を弄ぶおつもりですか?福岡先生にとって近い関係の女性は何人必要なんでしょうか」

「ちょっと待って。もしかしたらとは思っていたけど、勘違いしてるよね。僕と曽根田さん、近い関係にはないからね」

身を乗り出して否定する福岡先生に不快感が強くなる。

「私にとって夜の暗がりで抱き合っていたり、休日に一緒にお出かけをすることは近い関係というのですが、先生は違うんですか?」

ちゃんとこの目で見たし。
証人なら二人もいる。
休日に一緒に出掛けたことも自分たちが言っていたのだから間違いないはずだし。


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