Cherry Blossoms〜潜入捜査官と天才医師〜

「本日からこちらで働くことになりました。本田凌と申します。よろしくお願いします」

「本田先生ですね！私は、折原藍と言います。産婦人科医をしています。よろしくお願いします」

互いにペコリと頭を下げると、藍の後ろに立っていた二人の男性も桜士に近付き、自己紹介をしてくれた。

「研修医の高槻練（たかつきれん）と言います。よろしくお願いします」

「同じく研修医の青羽聖（あおばひじり）です。よろしくお願いします」

「研修医ですか……。よろしくお願いします」

桜士は一瞬公安警察の顔に戻り、頭を下げる。警戒をせよと脳が命令を出し、桜士は二人の態度や目線に注目していた。その頭の中には、宮崎春男の急変がある。

（研修医は、二年かけて外科や産婦人科など色んな科を見て回る。警戒するに越したことはない）

心の中でそう思いながら、「前はどこで研修してたんですか？」と訊ねる。練が目を輝かせながら答えた。

「消化器内科です！ERCPの検査の助手をさせてもらって、いい経験になりました」