Cherry Blossoms〜潜入捜査官と天才医師〜
「私は、ある人と約束をしたんです。立派な医師になると……。その人に誇れる人でいられるよう、私にできることをしたいんです。華々しさとか、お金とか、そんなものどうだっていい!私は、誰かの役に立てるのならそれだけでいいんです!勝手な思い込みはやめてください!……それと、自分の人生を可哀想だと思ったら、一生そこから抜け出せませんよ?絶望しても、何度だって立ち上がれるのが人間だと私は思っています」

一花が静かに、だが微かに怒りを含んだ声で言う。その言葉に雪は目を見開いた後、静かに泣き始めた。

桜士の耳にサイレンの音が聞こえる。こうして、榎本総合病院で起きていた事件は幕を閉じた。



「……あの、四月一日先生はどうしてこちらに?」

「私も、ちょっとあの二人のことが怪しいなって思ってたんです。そしたら本田先生が山村さんをデートに誘ってて、その後ろを青羽先生が尾行してたので、私もこっそり後を追いかけて来ました」

犯人二人を警察官に引き渡し、桜士は一花に怪我を手当てしてもらいながら質問をした。一花の表情はいつもの穏やかなものに戻っている。



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