離婚直前、凄腕パイロットの熱烈求愛に甘く翻弄されてます~旦那様は政略妻への恋情を止められない~
 彼女はうなずきケースからいくつかの商品を出して見せてくれた。そのなかに一目で気に入ったものがあった。文字盤はオーソドックスなローマ数字で見やすく、上品な印象。チェーンベルトはややドレスライクでさりげない個性が光る。男性用はシルバーで女性用はローズゴールド。柔らかな印象で美紅の手元によく似合いそうだと思った。

「これをください」

 それなりに高価な買いものだったがほとんど迷わなかった。俺は好みがはっきりしているほうだ。自分にとって特別なものは周囲から浮かびあがって見える。
 美紅もそうだった。見合いの場でなんのためらいもなくプロポーズをしたのは彼女こそが運命の女性だと確信したからだ。

* * *

 慶一郎さんにエスコートされて緊張した面持ちの彼女が姿を現した。
 澄んだ青空を思わせる爽やかな水色の振り袖は清楚な彼女によく似合っていて、俺は呼吸すら忘れて見とれてしまった。

「きょ、今日はよろしくお願いいたします」

 震える声も愛らしい。

(いつでも一生懸命なんだな)
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