離婚直前、凄腕パイロットの熱烈求愛に甘く翻弄されてます~旦那様は政略妻への恋情を止められない~
 我が社の第一号男性CAである園部は憎らしげな目で俺を見据えている。愛する女性を奪われた恨み。この目を見れば彼が浜名に恋をしていることはすぐにわかった。

(彼女のほうはどうなのだろう?)

 園部は有名なので俺も以前から彼の存在は認識していた。食堂などで浜名と親しげに会話をしている姿もよく見かけていた。
 恋人はいないと彼女は言っていたが、俺に気を使ったのかもしれないし見合いを前に泣く泣く別れたという可能性もある。慶一郎さん以外の車には乗らないという発言も……デートは電車に乗っても行ける。
 目の前の彼と浜名は思い合っているのだろうか。考え出すとそれが正解としか思えなくなる。

(それに、たとえ園部となにもなくても……だからといって俺と結婚したいと思っていることにはならない。俺にとっては渡りに船のような縁談だったが彼女にとっては苦渋の決断だったのかもしれない)

 その思いは結婚式の夜に確信に変わった。
 もともと初夜だからといって彼女を抱こうとは思っていなかった。彼女のなかに俺への気持ちが育つまで待つつもりだった。

「おやすみなさい」
「あぁ、朝はゆっくりでいいから」

 寝室とリビングルームは障子風デザインの引き戸で仕切られているが、完全な蜜室にはならない。リビングのソファに座っていても彼女の気配は感じることができた。
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