離婚直前、凄腕パイロットの熱烈求愛に甘く翻弄されてます~旦那様は政略妻への恋情を止められない~
「お姉さん!」
「あっ、怪我はしていない? 怖かったのに頑張ったね!」

 彼女はペコリと頭をさげてくれる。

「声をかけてくれて本当にありがとう。あのね……」

 やや照れくさそうに彼女は打ち明けてくれた。

「私、CAになるのが夢だったんだ。でもさっき揺れたとき、すごく怖くなってやっぱり無理って思った」

 私は小さくうなずく。かなり怖い目にあったのだ。CAどころか一生飛行機には乗りたくないと思っても不思議ではない。ところが続く彼女の言葉は意外なものだった。

「だけど、お姉さんがすごくかっこよかったから……諦めないでがんばろうかなって思う。私は臆病だけどそれでもCAになれるかな?」

 すごくうれしくて目頭が熱くなった。涙をこらえて私は彼女にほほ笑んだ。

「いいことを教えてあげる。パイロットもCAも臆病なほうが向いているんだって! 怖がりだからこそ事故が起きないように万全の準備をするでしょう。仕事中も気を抜いたりしなくなる」

 私の言葉に彼女は目を丸くして聞き入っている。

「へぇ、そういう考え方もあるんだ。じゃあ私はすごく向いてるかも!」

 彼女は明るい笑顔を見せてくれた。

「うん。待ってるからきっとCAになってね!」

 私たちは手を振り合って別れた。

『パイロットもCAも臆病な人間のほうが向いている、と俺は思う』
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