離婚直前、凄腕パイロットの熱烈求愛に甘く翻弄されてます~旦那様は政略妻への恋情を止められない~
 それが理解できただけでも今日ここに来た甲斐はあった。インタビュータイムが終わると私は誰よりも先に席を立ち部屋を出た。そんな私の背中に誰かが声をかけた。

「君!」

 振り向くとさっきのパイロットが私のところに駆け寄ってくる。

「えっと……あ、私なにか忘れものとか」

 席になにか置いてきたかと思い慌ててカバンの中身を確認する。

「違う。そうじゃなくて、なにか質問したいことがあったんじゃないか?」
「え?」

 私はじっと彼の顔を見る。

(どうしてわかったんだろう)

「手をあげかけてためらっているように見えたから」
「あ、ありがとうございます。でも、たいしたことじゃないので……」

 近くで見ると彼はますますかっこいい。恥ずかしさから私はさっさと話を切りあげようとした。けれど彼は真剣な表情で私を見据える。

「どんなことでも質問してほしいと言ったろ」

 彼はふっと頬を緩め少し砕けた口調で続ける。

「CAはモテますか?でもいいよ」

 私も彼につられて、ふふっとほほ笑む。

「じゃあ……」

 彼を見つめて尋ねる。

「私、すごく臆病なんです。怖いものばかりでちっとも克服できていなくて……そんな私がCAを目指してもいいですか?」
「CAになりたいの?」

 彼の声は優しい。私は大きくうなずいた。
< 159 / 183 >

この作品をシェア

pagetop