偽りのはずが執着系女装ワンコに娶られました
さも、当然であるかのように。
これには、さすがに唖然とさせられた。
確かに間違ってはいない。だがそれは本物の婚約者であるならばの話だ。
「そりゃ、普通はそうかもだけど、本物じゃないんだし」
恋の主張は至極当然なことだと思う。
だが秀にとっては、そうではなかったらしい。
「じゃあ、さっきの言葉は嘘だったのか? 俺のことをもっと知りたいと思ったから、出た言葉じゃなかったのか? 違うのか?」
しかも、婚約者うんぬんの話にではなく、数分前に交わしたやり取りについて言及してくる。
ーーはて。さっき、何て言ったんだっけ?
逡巡する時間を要したが、何とか答えることができた。
「……へ? あっ、ああ、うん。もちろん、嘘じゃないよ」
そのことに安堵している間もなく、秀にバッグを持っていない方の手首を掴まれ、今度はしっかりとした命令口調で言い切られてしまう。
「だったら、帰るな」