偽りのはずが執着系女装ワンコに娶られました

 気づいたときには、恋はそんな想いに突き動かされてしまっていた。

「……それって、どういう」

 けれどその言葉は言い切らないうちに、ガバッと恋を胸から引き剥がした秀からの強い視線によって遮られてしまう。

 秀の熱視線と見つめ合うこと数秒間。

 あたかも心の中を見透かされているかのような心地だ。
 
 居心地の悪さを覚えた恋が視線を逸らそうとする寸前、秀の濁りのない漆黒の瞳がゆらゆらと揺らめいたかと思った次の瞬間。

「どういうって。そんなの、恋が唯一無二の大切な存在だからに決まってるだろ」

 予想通りの返答が秀の口から紡ぎ出されて、同時に再び胸に抱き寄せられた。

 安堵したようなガッカリしたような、複雑な心情ではあったが、秀のぬくもりと爽やかなシトラスの香りに包まれてしまうと、何もかもがどうでも良くなってゆく。

 それどころか、ずっとずっとこのまま秀の腕の中にいたいなんてことを思ってしまっている。

 しばらくの間、恋は秀に身を委ねたままでいた。

 
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